アメリカン・ビューティー
- Sendousya Denki
- 2017年3月24日
- 読了時間: 2分
この映画にまともな人間は一 人も出ない。
ケビン・スペイシー演じるレスター・バーナムは一見幸福そうな家庭を築 いている。 美しい家具を備えたマイホーム、美しい妻と娘、広告代理店に勤め不満なんてなさそうだ。 しかしその実、自分の成功で頭がいっぱいの妻と父のことを毛虫のように嫌うティーンエイジャーの娘、 仕事も仕事で「クソッたれ」であった。 ある日、レスターは娘の同級生アンジェラに一目惚れしてしまう。 それからレスターは自分の人生を見つめ直し、自分自身を見つめ直し、静かに狂っていくのであった。 最初に書きましたが、この映画に常識的な人間は一人も出ません。みんな頭がおかしいです。 でも共感できます。 内容を文字に起こすとおかしいのですが、見ると不思議とおかしいと感じません。 むしろ映像も含め、詩的とさえ感じます。 またアメリカ独特のブラックジョークがくすりと笑えます。 レスターは会社を辞め、人生を楽しむ為「責任」の極力少ないハンバーガー屋でバイトをするのですが、 店のドライブスルーへ妻が浮気相手を連れて来ます。もちろんすぐにバレるのですが、慌てる妻たちに対し、 レスターは慌てません。怒りもしません。ただハンバーガーを勧めるだけです。 そこへパートのおばちゃんがしゃしゃり出て、横から妻たちに「あんたもこれで終りね」と嫌味をいいます。 食ってかかる妻。 そこで初めてレスターが怒ります。「僕の上司になんて口の利き方だ!」 一応これでもアカデミー作品賞をとったんですよ。日本じゃあまり話題にならなかったはずですけど。 自分はこれがアカデミー賞をとったのを見て、アメリカというものを見直しました。 この映画はテーマがとてもいいんです。 「見慣れてしまった風景の奥に"美"が隠れている」 ラストシーンではそれをリンクさせ、綺麗にまとめています。 この映画にまともな人間は一人も出ないんですけど、みんなとても優しい んです。